監理団体の役割

監理団体の役割

外国人技能実習制度における監理団体の役割をお伝えします。
監査の重要性、実際の監査項目の内容、違法や不正行為について例を挙げて説明します。
また、外国人技能実習機構による立ち入り検査の内容および、実習実施者のよくある思い違いなどもお伝えします。

監理団体の役割

3か月に1回実習実施者へ監査実施

監査の実施内容はこちらをご覧ください。

1か月に1回実習実施者へ(監査含む)巡回訪問

毎月の賃金台帳やタイムカードを確認し、給料がきちんと支払われているか、実習計画通りに実施されているか、実習実施者・技能実習生を訪問(巡回)します。

技能実習計画の認定計画申請書類の作成

技能実習生として入国させるために計画書等を作成する必要があります。
申請書は種類も多く、複雑な書類もあります。当組合では書類作成、ならびに申請まで実施しています。

入国後講習(1か月)

入国後講習とは日本語、日本での生活一般に関する知識などを学ぶ講習です。
入国した実習生は、1か月の講習を受講し、日本語学習や日本のルール、マナー、交通規則や法律について研修します。
※この講習は法令義務付けられています。この期間中に実習をさせることは法令違反になります。

実習実施者に対する実習生入国前から帰国までのサポート

(技能実習生受入れに関するご相談、申請書類作成サポート)
技能実習生の受け入れに対し事前に登録しておくべきこと、準備しておくべきこと、住環境の整備等ご不明な点をサポートします。
また、技能実習生の帰国時に必要な手続きの案内や実習生が帰国する際の飛行機の手配も実施しています。

母国語スタッフ(通訳)

技能実習に母国語で相談に乗れるようにベトナム人、カンボジア人、ネパール人の通訳が常勤しています。

技能検定の支援

技能検定の学科試験の過去問題の提供をしています。
実技試験については、実習実施者にて事前に練習していただきます。

日本語勉強会開始

技能実習生が日本語を継続的に学習できるように定期的に日本語勉強会を開催しています。
日本語検定のN2、N1の合格者に対して表彰もしています。

総合保険の手続き、保険金請求作業

技能実習生が加入する技能実習生総合保険の加入、実習生が病院にかかった場合の保険金請求作業を実施しています。

技能実習生の監査の重要性
、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されました。技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を目的とするもので、実習実施者は、技能実習を行わせる環境の整備に努めることが責務になりました。監理団体は、監理事業の許可を得て実習実施者に対し技能実習の実施監理をすることになりました。違法または不当な条件や環境で実習させられることを防止するためにコンプライアンス遵守が厳格化されました。

外国人技能実習機構の実地監査について

外国人技能実習機構は実習実施者に対し、3年に1回、監査を実施します。
機構職員が実習実施者に行き、正しく実習を実施しているか監査します。

  • 各種法定帳簿類(賃金台帳等)の確認
  • 作成義務書類の確認
  • 実習生の寮の確認
  • 質疑応答

機構の監査にて違反が確認された場合、以下の処分がくだされます。

改善命令
  • 技能実習法、出入国または労働に関する法令等に違反していることが判明した場合
技能実習計画の許可・認定の取り消し
  • 計画認定に従っていない場合
  • 認定基準を満たさなくなった場合
  • 改善命令に違反した場合
  • 出入国管理法や労働関係法令に違反した場合

改善指導や改善命令が出されることがないように、技能実習の適切な実施状況を監理、指導することが監理団体の役割です。

監理団体の監査

監理団体は3か月に1回以上の頻度で実習実施者に対し監査を実施します。
法令では以下のように定められています。

  1. 技能実習の実施状況を実地に確認すること
  2. 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
  3. 技能実習生の4分の1以上と面談すること
  4. 実習実施者の事業所の設備、帳簿類等を閲覧すること
  5. 技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること

改善点があれば、適正な実習が実施されるように実習実施者に監理団体から指導します。
監査の結果は、外国人技能実習機構に報告をしなければなりません。

監査項目・内容

1. 実習計画・勤怠・賃金関係

労働基準法、労働安全衛生法等が遵守されているか確認します。

  1. 実習計画に沿って実習が実施されているか?
  2. 雇い入れ時の安全衛生教育は実施されたか?
    各業務の10%以上の割合で安全衛生業務が行われているか?
  3. 技能実習日誌はきちんと作成されているか?
    (技能実習指導員が日々記録し、責任者の方が月末に確認します。通常業務の他に週2回(各1時間程度)は安全衛生講習を実施してください。)
  4. 雇用条件書通りの賃金支給(および各種控除)がされているか?
    (毎月、賃金台帳と勤務表、振込明細書を確認します。)
  5. 休日はきちんと取得できているか?連続勤務になっていないか?
  6. 有休は取得できているか?(年5日の有給休暇取得は義務です。)
  7. 36協定は遵守されているか?
  8. 実習生間で、労働時間、賃金等に格差がないか?
    (実習生から不満が出る恐れがあります。)
  9. 最低賃金を下回っていないか?(最賃改定時には要注意)
  10. 特別教育は実施されているか?
  11. 関連・周辺作業に偏っていないか?
  12. 申請と別の現場で実習していないか?
  13. 就業規則は守っているか?
  14. 健康診断は実施しているか?
2. 寮・社宅関係
  1. 室内は整理整頓され、清潔に保たれているか?
  2. 同居人とのトラブルがないか?
  3. 無断外泊ないし、部外者を泊めることがないか?
  4. ごみ捨てや生活はルール通りにしているか?
3. 生活全般
  1. 外出の際は、必ず在留カードを携帯しているか?
  2. 自転車を拾って(盗んで)乗っていないか?
  3. 他人の物を勝手に使用していないか?
  4. ゴミ捨て場からものを拾ってきていないか?
  5. ギャンブル(パチンコ等)を行っていないか?
  6. 他でアルバイトしていないか?
  7. お金の無駄使いはないか?
  8. 同僚からの借金はないか?
  9. 日本語を継続的に勉強しているか?
  10. 病気やけがを我慢していないか?
4. その他
  1. 日本語教育のサポートしているか?
    社内で日本語の勉強会の開催したり、地域の日本語教室を紹介するなど。
  2. 日本文化を学ぶ機会を設けているか?
  3. 地域との交流を図っているか?
  4. 実習生の待遇に差がないか?
    実習生間で処遇が異なると、不平不満が出る可能性があり注意が必要です。会社方針として処遇に差が出る場合は、その理由等を実習生にきちんと説明し納得を得ることが大切です。

従業員との相互の理解や実習生の意欲向上のためには、社内レクリエーションの実施や食事会、日帰り旅行などが効果的です。また地域のイベントやボランティア活動に参加の案内をするなど、できるだけの地域の方々との交流の機会を設けてください。

違法、不正行為について

重大な違法または不正行為をおこなった場合、認定計画の取り消しや一定期間の受け入れ停止、名前の公表などの行政処分を受ける他、場合によっては罰金や懲役などの行政罰の対象となります。

技能実習適正化法により両罰規定が適用される違法行為
違反行為罰則
暴行・脅迫・監禁等による技能実習の強制1年以上10年以下の懲役又は200万円以上300万円以下の罰金
技能実習に係る契約の不履行についての違約金の定め等をすること6か月以下の懲役又は30万円以上の罰金
技能実習生の意思に反して技能実習生の旅券又は在留カードを保管すること
技能実習生の外出その他の生活の自由を不当に制限する行為
行政からの改善勧告に従わないこと
備え付け書類の保管義務、帳簿類の作成義務違反または虚偽の書類を作成すること30万円以下の罰金
申請、届出義務違反または虚偽の申請、届出を行うこと
技能実習適正化法により改善勧告、改善指導等の対象となる不正行為の例
不正行為罰則
技能実習計画にない作業をさせること(職種違い)改善勧告または認定取り消しや一定期間の受入れ停止、名前の公表などの行政処分
実習生の人権を侵害する行為(暴言や差別的発言はもちろん、預金通帳を預かる行為や貯金積立を強制する行為もこれに該当します)
備え付け書類の不備、帳簿類の不備
職場環境、住居環境に改善が必要と認められる場合
失踪、途中帰国者の頻発
労務関係法令上の違反 不正行為
不正行為罰則
賃金の不払い、または雇用契約違反(時間外労働も含め契約書通りの賃金が支払われているか)6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
36協定の末締結 または36協定違反
有給休暇の付与、管理義務違反
社会保険、厚生年金への加入義務違反6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
健康診断の実施義務違反6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

このような、不正行為が発覚した場合、監理団体は適正な指導、助言を行うとともに外国人技能実習機構に報告する義務があります。

実習実施者側にある思い違いの一部例

実習計画との相違による労働基準違反

手取り額を少しでも増やしてあげようと考え、36協定を超える残業、休日出勤などによる連続出勤等は労働基準違反になります。

実習計画に沿って実習を実施するという認識不足

実習生にいろいろ学ばせてあげたいという思いから実習計画とは違う就業場所、実習作業をさせることは不正行為になります。

就業規則違反

実習生は特別という認識から、日本人と違う待遇をすることは違反になります。
技能実習生も、日本人従業員と同じ就業規則が適用になります。

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