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「建設特定技能受入計画書」とは?(コラム扉絵)
コラム

【あじくり相談室】「建設特定技能受入計画書」とは?

2021.11.102022.10.25

こんにちは。 建設会社に勤めています。
今度会社で特定技能外国人を受け入れることになって、いきなり私が担当に指名されました。
手続きとか、よくわからないことだらけで焦っています。
何をしなければなりませんか?

質問がいきなり直球ですね。
現在、特定技能は14職種あります。
建設業はその一つですが、受入れに際しての手続きは他の業種と異なっています。

どう異なっているんですか?

建設業の場合、特定技能外国人の在留資格の審査と並行してやらなくてはならないことがあります。

えっ(そんなの聞いてない!) ますます焦ってきました。

まぁ、そう焦らずに。
建設業の受入企業は、「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通大臣の審査・認定を受けていることが要件の一つになっています。
つまり、国交省の受入計画認定証が出入国在留管理庁への申請の添付書類になっているため、認定が出ない限り出入国在留管理庁の許可は出ません。

主な認定基準は次のようなものです。

■受入計画の認定基準■ ・受入企業は建設業法第3条の許可を受けていること ・受入企業および1号特定技能外国人の建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録 ・特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)への加入および当該法人が策定する行動規範の遵守 ・特定技能外国人の報酬額が同等の技能を有する日本人と同等額以上、安定的な賃金支払い、技能習熟に応じた昇給 ・賃金等の契約上の重要事項の書面での事前説明(外国人が十分に理解できる言語) ・1号特定技能外国人に対し、受入れ後、国土交通大臣が指定する講習または研修を受講させること ・国または適正就労監理機関(一般財団法人 国際建設技能振興機構:FITS)による受入計画の適正な履行に係る巡回指導の受入れ

ずいぶんと細かいじゃないですか。
どうしてこんなに認定基準が厳しいんですか?

かねてから技能実習生の失踪が問題になってますが、業種別では建設業がダントツで多くなっています。
建設業特有の原因とされているのが、受入企業の労働法令違反です。
賃金未払いや過酷な労働環境の状況をなんとか改善しないと、特定技能もうまく機能しません。
「建設特定技能受入計画」は、そのために作られたものです。

なるほど。
ただ、いろいろありすぎて、とらえどころがないなぁ。

認定基準のポイントを絞ると、こうなります。

・同等の技能を有する日本人と同等額以上の賃金を支払うこと(同一賃金同一労働) ・特定技能外国人に対して、天候や受注状況によって大きく変動しない月給制により、報酬を安定的に支払うこと ・建設キャリアアップシステムに登録していること ・1号特定技能外国人と外国人建設就労者との合計の数が、常勤職員の数を超えないこと

やはり、賃金に関することが特に大事ですね。
2020年4月から導入された厚生労働省の「同一労働同一賃金のガイドライン」は、特定技能外国人にも適用されます。
・休業時の休業手当(60%以上)支給
・天候による休業を有休処理しない
・技能習熟に応じた昇給
こういうことも法律どおりにちゃんとやってください、ということです。

あと、よく知らない言葉がいくつかあります。
「建設業法第3条」「JAC」「建設キャリアアップシステム」とか……。

建設業法第3条の許可とは、いわゆる建設業許可のことです。受入企業は、建設業の許可を取得しなければなりません。もし、許可の有効期限が切れていたらアウトです。

また、特定技能の受入企業は業種別に設けられた協議会に加盟する義務があります。建設業はJAC=一般社団法人建設技能人材機構またはJAC正会員の建設業者団体へ加入が必須です。

建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などにつなげるシステムです。
企業と技能者の双方に加入が求められます。

いろいろ加入もしなければならないんですね。

加入手続きなどを行ったうえで、受入計画の書類を作ります。
なお、受入計画の申請は原則オンラインで行います。

1)建設特定技能受入計画(新規申請) ※オンラインにて入力 2)登記事項証明書、住民票(原本)等  3)建設業許可証の写し 4)常勤職員数を明らかにする文書  5)建設キャリアアップシステムの事業者IDを確認する書類  6)JACの会員証またはJACの正会員である建設業者団体の会員であることを証する書類 7)入管法に基づく申請取次資格(弁護士、行政書士または登録支援機関)を有することを証明する書類 ※取次申請を行う場合のみ 8)ハローワークで求人した際の求人票 9)同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬であることの説明書 10)就業規則および賃金規程  11)同等の技能を有する日本人の賃金台帳 12)同等の技能を有する日本人の実務経験年数を証明する書類 13)特定技能雇用契約書および雇用条件書  14)時間外労働・休日労働に関する協定届、変形労働時間に係る協定書、協定届、年間カレンダー 15)雇用契約に係る重要事項事前説明書の写し 16)建設キャリアアップシステムカードの写し

こんなに用意しなくちゃいけないなんて!
汗かいてきました。

まあまあ、受入計画は早めに申請できます。
最初に話しましたが、国交省への受入計画認定申請と出入国在留管理庁への在留資格の認定証明書交付申請・変更許可申請については、並行申請が可能です。
在留資格の認定証明書交付申請・変更許可申請については、1号特定技能への在留資格変更を希望する日より2~3か月前を目安に申請してください。

建設特定技能受入計画認定申請から認定までは、1か月半~2か月程度(補正期間を除く)かかります。

技能実習から継続して特定技能へ移行をされる方については、技能実習計画の修了期日の6か月前から受入計画認定申請を行うことが可能です。
それ以外の方については、雇用開始日の概ね6か月前から受入計画認定申請を行うことが可能です。

受入計画は、しっかり準備できるように計画を立てて早めに行いましょう。

以上の説明は、特定技能1号に関するものです。
建設分野は習熟した技能者を育てる必要があるので、特定技能2号への移行も設定されています。
きちんとキャリアアップをさせて、2号に移行し優秀な人材を定着させていきましょう。
建設特定技能受入計画については、
国土交通省 建設分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」) に詳しく説明されています。

なんか、かえって焦ってきたような感じがしますけど。
とにかく、しっかり準備が必要ということはわかりました。
ありがとうございました。明日から忙しくなるなぁ。

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